もちろん役者も覚悟を持ってやっているつもりです。大学で研究していたのも映画だし、妥協したことはありません。役者は要望に応える仕事だと思うんですよ。脚本があって、そのなかで可能性を探っていくというか。音楽とは使う脳が違うし、自分の場合はバランスが取りやすいんですよね。海外のパンクバンドとかも、別の仕事をやりながらバンド活動を続けていたりするんですよ。「好きなことだけをやって、働き口は別」という人は増えてきそうな気もしますけどね。

――7月13日には東京・新代田FEVERで黒CHELSEAとしての初ライブが開催されます。バンドで演奏すること、歌うことの喜びを久々に感じているのでは?

 もちろんです。それぞれ違う楽器を持って同じ曲に向き合って、そこで化学反応が起きて。楽器の音が歌を突き動かしてくれることもあるし、その逆もある。形が定まらないのもいいですよね。DTM(デスクトップミュージック)で作られた曲の良さもわかるんですが、ズレや呼吸が作品になっていくのはバンドだけの魅力だと思います。しかも黒猫CHELSEAはレコーディングも一発録り(ライブ録音)ですからね。一緒に演奏していると、空気を共にしているという充足感があって。呼吸を合わせるって、すごく人間的だなと思います。ライブでは未発表の新曲もやります。「きらーず」のやり方をさらに突き詰められそうな感じもあるし、それを面白いなと思っています。そのライブ感をぜひ味わいに来てほしいです。

(取材・文/森 朋之)

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森朋之

森朋之

森朋之(もり・ともゆき)/音楽ライター。1990年代の終わりからライターとして活動をはじめ、延べ5000組以上のアーティストのインタビューを担当。ロックバンド、シンガーソングライターからアニソンまで、日本のポピュラーミュージック全般が守備範囲。主な寄稿先に、音楽ナタリー、リアルサウンド、オリコンなど。

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