いよいよ7月3日に新しい1千円札、5千円札、1万円札が誕生する。このうち、5千円札に津田塾大創立者の津田梅子、1千円札に北里大と縁が深い北里柴三郎の肖像が描かれている。
5千円札の津田梅子は1871(明治4)年、岩倉使節団とともに満6歳でアメリカに渡り、長いあいだ、現地で教育を受ける。帰国後は華族女学校、女子高等師範学校などで教授をつとめたあと、1900(明治33)年、女子英学塾(後の津田塾大学)を創立して、女子の高等教育の発展に尽力した。
いま、津田塾大は大いに盛り上がっている。
大学同窓会が「津田梅子新5000円札記念プロジェクト2024」を立ちあげ、今秋、シンポジウムを行う予定だ。その趣意がなかなかいい。
「21世紀は多様性・共生の社会と言われ、ジェンダーレスの時代に入っています。そういう状況の中で2024年新5000円札に津田梅子の肖像が選ばれたことは、歴史的意義があると言っても過言ではないでしょう。これを機にいま改めて、津田梅子の教育理念、近代日本社会の中で津田梅子の果たした役割を検証し、女子大学の存在意義、グローバル的視点を持った女性の活躍の現状と未来について考えます」(大学同窓会ウェブサイト)
女子大にアゲンストの風が吹いているなか、津田塾大は存在感を示そうとしている。
1千円札に登場する北里柴三郎は1853(嘉永6)年生まれで、東京医学校(現在の東京大医学部)出身。破傷風菌の純粋培養に成功し、破傷風菌毒素に対する血清療法を確立、その後にはペスト菌も発見するなど、医学界に多大な功績を残した。1914(大正3)年に北里研究所を設立し、1962(昭和37)年、「北里を学祖と仰ぎ」北里大が開学する。
北里大は新1千円札に関する情報を発信しておらず、イベントの予定もないが、新紙幣が決定した5年前には喜びを隠さなかった。
「学校法人北里研究所・北里大学として、大変、名誉な事であり、また、この機会に学祖北里柴三郎の経歴と業績についての概略を述べさせていただき、国民の皆様に身近に感じていただければと思います。(略)北里柴三郎が現在の一万円札の肖像になっている福澤諭吉先生を恩師と仰ぎ、また、現在の千円札の肖像になっている野口英世を育てており、何かのご縁と感じます。(略)学校法人 北里研究所 理事長 小林弘祐 北里大学 学長 伊藤智夫」(大学ウェブサイト。2019年4月9日※学長は当時)