創立者の名前を掲げた大学名から、さまざまな事情で名称を変えた大学もある。

 北海道女子大(1997年、北海道)は2000年に北海道浅井学園大に、2005年には浅井学園大に名称変更した。創立者である浅井一族にちなんだものである。ところが、2006年、浅井幹夫前理事長(当時)が背任などの容疑で逮捕される。大学経営陣が刷新され、2007年、浅井学園大は北翔大としてスタートすることとなった。「浅井」の名は校名にふさわしくない、という判断だった。

 了德寺大(2006年、千葉)は仏教系、地名と間違われることがあったが、創立者の名前に由来する。医療関係の仕事に関わってきた了德寺健二がつくった大学だ。だが、2024年、大学理事長はSBCメディカルグループホールディングス CEOの相川佳之氏に交代し、SBC東京医療大と改称した。同社がコマーシャルで有名な湘南美容クリニックを経営している。

 創立者の名がつく大学は、新しい分野で挑戦しよう、女性が社会で活躍できるようにしよう、というパイオニア精神が見てとれる。現在、創立者から3代目、4代目となる一族が理事長として経営のかじ取りをしている大学もいくつかある。

 津田塾大、北里大のように、お札になるような、歴史に名を残す大学創立者が現れるか。少子化で厳しい情勢ではあるが、大学には社会にインパクトを残してほしい。スタンフォード大など世界で名だたる名門校も、アメリカで功成り名を遂げた偉人の名が由来となっていることだし。

<一部、敬称略>

(文/教育ジャーナリスト・小林哲夫

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小林哲夫

小林哲夫

1995年より『大学ランキング』の編集者。『筑駒の研究』(河出新書)、『学校制服とは何か その歴史と思想』 (朝日新書)、『女子学生はどう闘ってきたのか』(サイゾー)、『旧制第一中学の面目』(NHK出版新書)、『東大合格高校盛衰史』(光文社新書)、『早慶MARCH大激変 「大学序列」の最前線』(朝日新書)など、教育・社会問題についての著書多数。

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