中国に圧倒される「EV化」
日本では充電インフラの整備がほとんど進まないため、ガソリンスタンドに比べて利便性が落ちると言われるが、中国では、すでに公共の充電器が300万台設置されていて、超急速充電ステーションの数だけでガソリンスタンドの数を超えた地域もある。今後もさらに増える見込みだ。この問題も辺境の地を除けば解消に向かうはずだ。
生成AIの爆発的な普及により電力不足が叫ばれる。EV化による大量の電力需要が加われば問題はさらに深刻化する。しかも、日本の電力の大部分が化石燃料によるものなので、EV化を進めても脱炭素にはならないなどという問題も挙げられる。
しかしこれは、再エネの普及を事実上妨害してきた日本に特有の問題だ。中国は、世界の太陽光発電の51%、風力発電の60%を占め、今後も再エネの導入に邁進する。EVによる電力需要の拡大は計算済みで、化石燃料に頼れば、エネルギー安全保障にマイナスだという大きな視点も含めて、シャカリキになって再エネを導入している。日本もその気になれば、100%グリーン電力によるEV化を実現することはできるはずだ。
そして、「EVは価格が高い」という消費者にとって最大のデメリットも中国製のEVは克服しつつある。EUが中国製EVに追加関税をかけるのも、圧倒的に低価格のEVがEU製のEVだけでなくガソリン車さえ駆逐しかねないという危機感に掻き立てられたものだ。
EVの欠点は、克服できるということがわかるが、残念ながら、日本政府やトヨタなどは、EV化を遅らせたほうが得だと考えていることが誰からもわかる。
それによって、自動車メーカーや部品メーカーだけでなく、非常に幅広い分野で産業の発展を阻害しているという大きな損失は十分に認識されていないようだ。これもいくつか例を挙げよう。