急速に成長する中国のハイブリッド車

 車の製造に必要な部品点数が少なくなり、組み立て工程が簡素化すれば、ほとんどの作業がロボットによって置き換え可能になる。中国では、車の製造工程の自動化率が急速に高まっているが、それを支えるためのロボット技術の発展にも目を見張るものがある。

 そして、そこで得られた技術は、先週のコラムで取り上げた人型ロボットなどにも応用される。

 さらに、電池で世界を制した中国は、EVだけでなく、電池を使うプラグインハイブリッド車(PHV)でも世界を席巻しようとしている。

 元々BYDはEVとともにPHVも併せて販売していたが、今や世界一のPHVメーカーになってしまった。EVよりも価格が安く、最近では、EVを超える伸びを見せている。

 これは、HVをEVへのつなぎにしようと考えていたトヨタなどの日本メーカーにとっては脅威だ。航続距離、充電の不便さ、高価格などのデメリットをBYDのPHVは全て克服してしまったからだ。今年5月末に発表されたBYDの新型PHVは価格が220万円からで、航続距離は2100キロメートル。

 BYDは、23年に143万台だったPHV販売を24年は3割程度拡大するペースで販売している。一方のトヨタはBYDの10分の1にも満たない。油断しているうちにPHVでもBYDに負けてしまったのだ。トヨタは、今年5月になって、PHVなどに使う新しいエンジンを開発するなどと発表したが、図らずもBYDに相当な後れをとったことを露呈してしまった。

 さらに、今日、EVは自動運転とセットで開発されている。中国では、政府も自治体も、そのためのインフラ整備を早くから進めてきた。それもあって、中国のEV市場で競争するには高い自動運転機能を搭載することが必須の要件となったことで急速な自動運転技術の進歩につながった。また、大量に走行しているEVから得られるリアルタイムの走行情報や電池使用状況などの情報もビッグデータとなって、競争優位を築く上で重要な役割を果たしている。日本メーカーは、ここでも全く立ち遅れてしまった。

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車が空を飛ぶのも現実化