EV化を抑制した日本の未来
以上からわかるのは、中国のEV化が、エネルギー政策や幅広い交通政策と一体化し、さらに関連のエコシステムを形成するという政府の明確な意図をもって進められてきたということだ。大きな方向性が民間企業にも共有されることで、関連する広い分野の産業で、思い切った投資が進み、さらにその成果を使った新分野での投資も誘発するという拡大好循環が生まれている。
今や、産業の大半の分野にその効果が広がり始めたといっても良いだろう。
そして、産業だけでなく、軍事分野への活用も確実に進むはずだ。
一方、日本では、EV化を抑制したために、関連分野の発展を遅らせた。今頃になって後追いしようとするが、古い分野に固執しながらの中途半端なものだ。このまま行けば、自動車産業では、虎の子のHVが急速にPHVに取って代わられて命運が尽きるだろう。
関連の材料、製造装置、自動運転システム、さらには、自動車の周縁にある空飛ぶクルマやモノレールといった産業でも、すでに大きな遅れにつながった。
軍事技術の分野でも深刻な遅れにつながりそうだ。
とてつもなく広くしかも長期的な視野でEV化を進めてきた中国と、既存大企業の「既得権優先」で、しかも、「電気で走れる自動車」の「ものづくり」をすれば良いという近視眼的視野狭窄の産業政策に終始してきた日本。
日本の産業、経済の沈没は当然の結果である。