AERA 2024年5月13日号より

子ども欲しくない5割

 少子化の日本では、子どもを育てて働くことがデフォルトになりつつある。だが、ロート製薬が今年3月に発表した「妊活白書2023」によると、未婚男女(18歳から29歳)の半数以上が「今も将来も子どもが欲しくない」と回答している。特に女性は調査開始から6年目で初めて5割を突破。経済的な要因など様々な背景があると考えられるが、価値観の変化が起きていることは明らかだ。だが、

「子どもを持たない生き方が、ライフコースの一つとして認められてこなかったのが一番の問題点です」

 と指摘するのは、子どものいない女性を応援する「マダネ プロジェクト」主宰のくどうみやこさんだ。

「マダネ プロジェクト」の調べによると、子どもがいないことで肩身の狭い思いをしている女性は8割にのぼる。また、子どもがいる人への支援ばかりが増えることにモヤモヤしたり、子育て世代の時短勤務のしわ寄せを感じたりしても「子育てに理解がないと思われるため、口にできない」と考える人も、8割いるという。

“子ども=幸せ”が辛い

「子育て支援はやるべきなのが大前提ですが、子どもがいない既婚者や独身者を含めた大枠での子育て支援を考えていかないと、今後さらに歪みや分断が助長されると懸念します」(くどうさん)

 子どもを持たない女性の背景は千差万別だ。自主的に選択をした場合や、不妊治療や妊活などの努力をしたけれど授からなかったり、経済・健康面の理由で断念したりする場合もある。AERAが今年4月にインターネット上で実施したアンケートにも、それぞれの事情と想いが寄せられた。

 大阪府在住の会社員女性(48)は、40歳を過ぎて結婚した。子どもは持たないと決めたことについて、こう振り返る。

「高齢出産は、子どもが障害を持って生まれる可能性が高まる。仮に授かっても、双方の両親は遠方のため頼れない状況だった」

 都内在住の会社員女性(41)は、30代で持病持ちになり、以前よりも妊娠がしづらくなった。当時、義理の母から言われた「子どもがいなくても幸せよね」の一言が胸にチクリと刺さった。

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