AERA 2024年4月29ー5月6日合併号より

精神疾患の休職が最多、志望者も減り教員不足に

 影響は様々な形で表れている。

 まず、心を病む教員が増えた。文科省によると、22年度に精神疾患で休職した公立学校の教員は6539人で、前年度を642人上回って過去最多だった。1カ月以上の病気休暇を取得した教員も合わせると、全体に占める割合は1.42%に上る。長時間労働のなか、業務量の偏りや保護者の過度な要求への対応といった複数の要因があるという。

 教員のなり手は減っている。都道府県などが22年度に行った公立学校(小中高校、特別支援学校など)の教員採用試験の採用倍率は3.4倍で、2年連続で過去最低となった。このうち小学校は2.3倍と4年連続で最低だった。倍率低下の要因は、近年になって採用数が増えたこともあるが、受験者が減っていることが大きい。専門家は、深刻な長時間労働などから、総じて志望度が下がったことが背景にあるとみる。

 教員志望者が減ったことで、必要な教員が配置しきれない事態も起きている。21年4月の始業日時点で全国の公立学校1897校で2558人が不足。小学校の担任を教頭が担ったり、一時的に自習になったりといったケースが続出しているのだ。

 不足が出るのは、教員の病休や産育休で生じた欠員を、代わりの非正規教員が見つからず補えないためだ。こうした代役は、かつては採用試験に不合格になり、再チャレンジを期す若手が担うことも多かったが、受験者数が減って不合格者も減ったため、不足が深刻化した。24年度初めの現在に至るまで抜本的な改善はなされていない。

 授業に影響が出ている以上、ことは一業種の労働問題にとどまらず、子どもたちの学習環境の問題にまで発展している。しかも、子どもへの影響という面では、さらに心配になるデータがいくつかある。

公立教育に不信感? 中学受験にも影響か

 先述した文科省の「問題行動・不登校調査」では、22年度に不登校だった小中学生29万9048人のうち、スクールカウンセラーなど校内の専門職や、教育支援センターなど校外の専門機関につながっていなかったのは11万4217人(38.2%)と過去最多だった。不登校生への対応は専門職も含めたチームで当たることが求められるが、そのためにはまずは教員が子どもの置かれた背景事情を把握し、必要な人や機関につなぐのが第一歩となる。

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