大きな話題性を持って今季Jリーグに加わりながら、未だにリーグ戦未出場なのが、ファンウェルメスケルケン際(川崎フロンターレ)だ。オランダ人の父を持ち、甲府ユースから単身でオランダに渡って実績を積んだ後、今年1月に川崎に緊急補強された異色の経歴の持ち主。2月13日のACLで終了間際の途中出場で川崎デビューを飾ると、同17日のスーパー杯・神戸戦では、右サイドバックとしてスタメン出場し、ラッキーな形ではあったが決勝ゴールを決めてヒーローになった。しかし、リーグ戦開幕後は音沙汰なしで、ベンチ外が続いている。甘いマスクと優れた語学力で瞬く間にファンを増やしたが、まだピッチ上では自身の魅力を発揮できていない。

 彼ら以外にも、現在のJリーグには“出戻り組”に当てはまる選手たちが多くプレーしている。今後、海外移籍の若年化が進み、欧州のカレンダーと同じ秋春制への移行も決まった中、その数は増え続けることは間違いない。日本人特有の海外への憧れから必要以上に海外組が評価されることも多いが、海外でしか得られない経験があることも確か。そうであるならば、“出戻り組”の活躍がJリーグをより魅力的なリーグにするはず。まだ4月。苦しんでいる彼らの巻き返しに期待したい。(文・三和直樹)