一方、依然として試合に絡めていないのが、安部裕葵(浦和レッズ)だ。中島と同じく昨夏にJリーグに復帰。バルセロナBに所属しながら度重なる怪我に泣いた4年間を取り戻す活躍が期待されたが、浦和加入後も故障が続いてコンディションが上がらず。昨季に引き続いて、今季も未出場の状態が続いている。技術面に疑いの余地はない。アタッキングサードで違いを作れる人材であり、かつて鹿島は眩い輝きを放っていたことは確か。フィジカル面を鍛え直してコンディションを上げられるか。まだ25歳という年齢だけに、復活を期待したい。
やや地味な存在ではあるが、現在23歳の鈴木冬一(京都サンガ)も出戻り組の一人であり、現時点では苦しんでいる。高校卒業後に湘南ベルマーレで2年間プレーした後、スイス・ローザンヌでの4シーズンを経て、今季から京都に加入。ゲームメイク能力も持つ万能型の左サイドバックとして開幕2試合はスタメン出場したが、第3節以降はスタメン落ちとなり、その後の5試合中2試合に途中出場も2試合はベンチ外と曹貴裁監督の信頼を掴み切れていない。シーズン開幕前の時点では、不動のレギュラーとしてフル回転を期待する声も多かったが、まだスイスでの成長の跡を見せることはできていない。
Jリーグ復帰3シーズン目となっている25歳の食野亮太郎(ガンバ大阪)も不完全燃焼の状況が続いている。切れ味鋭いドリブルとパンチ力のあるシュートで一時は新エース誕生の期待を大きくしてマンチェスター・シティと契約を交わしたが、レンタル先のスコットランド、ポルトガルでの3年間でインパクトを残せずに古巣に帰還すると、Jリーグ復帰後の1年半でも活躍は単発に終わった。迎えた今季は1月に肉離れで出遅れて開幕3試合はベンチ外。3月30日の広島戦で今季初出場を果たしたが、4月3日の京都戦では終盤の決定機を決められず、同6日の札幌戦では今季初スタメンも決定的な仕事をできないままベンチへ下がり、チームも敗れた。積極性と懸命さは見えるが、結果は残せていない。