打楽器などの軽快な音色、色鮮やかな山車、そして、ド派手な衣装で踊るダンサー……。見るものを魅了してやまない、ブラジル・リオデジャネイロのカーニバルに27回連続で出場している日本人がいる。
中島洋二さん(51)。今回のパレードでは、海の神「ネプチューン」をモチーフに青色を基調とした青色の衣装が、小麦色に焼けた筋骨隆々の身体によく映えていた。
大学在学中にサンバの虜になり、いまでは本場リオのトップチームでも認められるまでになった。
「今年のカーニバルが始まる前、自分のポジションに立ったときに『すごいところに来ちゃったな』って改めて思いました」
中島さんが今回務めたのは、きらびやかに彩られた山車を先導するソロダンサー。パフォーマンスの巧拙が、チームの評価に大きな影響を与える重要な役だ。テレビ中継では、名前のテロップも表示され、800メートルほどの通りで約45分、踊り続ける。
ペアダンス、パレードの先頭で踊るなどのパートを経験したあと、ソロダンサーを任されるようになった。それから、8年ほどが経つが、毎回重度の緊張感に襲われる。カーニバル中は、弾けるような笑顔を見せるが、心のうちではプレッシャーに押しつぶされないように必死だという。始まる前は、「まるで戦場に入っていくかのような気分になる」と中島さんは言う。
「一瞬も気を抜けないです。気を張ってないと、雰囲気に吞み込まれてしまうんです」
会場では無数のカメラが、中島さんの一挙手一投足を捉えている。