ド派手なサンバの衣装で踊る中島さん(本人提供)

 打楽器などの軽快な音色、色鮮やかな山車、そして、ド派手な衣装で踊るダンサー……。見るものを魅了してやまない、ブラジル・リオデジャネイロのカーニバルに27回連続で出場している日本人がいる。

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 中島洋二さん(51)。今回のパレードでは、海の神「ネプチューン」をモチーフに青色を基調とした青色の衣装が、小麦色に焼けた筋骨隆々の身体によく映えていた。

 大学在学中にサンバの虜になり、いまでは本場リオのトップチームでも認められるまでになった。

「今年のカーニバルが始まる前、自分のポジションに立ったときに『すごいところに来ちゃったな』って改めて思いました」

 中島さんが今回務めたのは、きらびやかに彩られた山車を先導するソロダンサー。パフォーマンスの巧拙が、チームの評価に大きな影響を与える重要な役だ。テレビ中継では、名前のテロップも表示され、800メートルほどの通りで約45分、踊り続ける。

 ペアダンス、パレードの先頭で踊るなどのパートを経験したあと、ソロダンサーを任されるようになった。それから、8年ほどが経つが、毎回重度の緊張感に襲われる。カーニバル中は、弾けるような笑顔を見せるが、心のうちではプレッシャーに押しつぶされないように必死だという。始まる前は、「まるで戦場に入っていくかのような気分になる」と中島さんは言う。

「一瞬も気を抜けないです。気を張ってないと、雰囲気に吞み込まれてしまうんです」

 会場では無数のカメラが、中島さんの一挙手一投足を捉えている。

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唐澤俊介

唐澤俊介

1994年、群馬県生まれ。慶應義塾大学法学部卒。朝日新聞盛岡総局、「週刊朝日」を経て、「AERAdot.」編集部に。二児の父。仕事に育児にとせわしく過ごしています。政治、経済、IT(AIなど)、スポーツ、芸能など、雑多に取材しています。写真は妻が作ってくれたゴリラストラップ。

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「失神しちゃうんじゃないか」