鴻上尚史さん(撮影/写真映像部・小山幸佑)
鴻上尚史さん(撮影/写真映像部・小山幸佑)

 小学生まで「イイ子」だった高校3年生の娘が1年ほど前から反抗期に。いつも不機嫌な態度をとる娘が「嫌になってきた」という47歳母親だが、14年前の離婚後に余裕がなく、娘を怒鳴りつけたり手を上げていたという。娘からは「許さない!」と言われたという相談者に、鴻上尚史が「それは反抗期ではない」と断言した理由とは。


【相談214】離婚後、余裕がなく怒鳴りつけていたことに、娘から「(ずっと)許さない!」と言われてしまいました(47歳 女性 はる)

 子どもと日常を取り戻したいです。

 鴻上先生、ほがらか相談をよく拝見しています。今日は私が非常に悩んでいる事を書かせてください。

 娘は高校3年生で、受験生です。

 娘は1年ほど前から反抗期のようで、いつも不機嫌でした。元々は思慮深く繊細で、小学校までは、いわゆる「イイ子」でした。しかし日に日に、特にここ数ヶ月は酷く、指示をしてきたり、ドタバタと戸を閉めたり、床をドンドンならしたり、部屋で叫んだり、イライラを言葉でぶつけてきたりの毎日で、私は本当に嫌になってきていました。

 先週、娘が干した物がベランダにおちていたのを無視したところ、積年の思いが溢れたようで「お母さん人でなし! 普通おちていたら拾うよね! 私はいつもそうしている!」と始まり、私が14年前に離婚してから余裕もなく手をあげてしまったり、酷い言葉をぶつけたりした過去を話し出しました。私自身は娘に申し訳ないのですが、正直、長男(娘の弟)に手をあげてしまった事は覚えているのですが、娘へはあまり記憶にありません。

 しかし、私がよく心が不安定になるため、その言葉を聞いて申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。当時話し相手として、娘の話を聞くより私の話を娘にたくさんしてしまっていたこと、余裕がなく怒鳴りつけて娘が怯えたこともありました。以前に謝りましたが、先週「(ずっと)許さない!」と言われてしまいました。

 私は父から心理的虐待を受けていたので、される側の一生消えない辛さは分かりますので、先週から毎日、どうしようもない気持ちで、これから和解や元に戻るという事がないと思うので、死んでしまいたい、でも死ねずにいます。

 少しでも彼女の傷が癒える方法はあるでしょうか? ぜひお言葉いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

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鴻上尚史

鴻上尚史

鴻上尚史(こうかみ・しょうじ)/作家・演出家。1958年、愛媛県生まれ。早稲田大学卒。在学中に劇団「第三舞台」を旗揚げ。94年「スナフキンの手紙」で岸田國士戯曲賞受賞、2010年「グローブ・ジャングル」で読売文学賞戯曲賞。現在は、「KOKAMI@network」と「虚構の劇団」を中心に脚本、演出を手掛ける。近著に『「空気」を読んでも従わない~生き苦しさからラクになる 』(岩波ジュニア新書)、『ドン・キホーテ走る』(論創社)、また本連載を書籍にした『鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』がある。Twitter(@KOKAMIShoji)も随時更新中

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