同じ投手で実績はないものの、文字通り掘り出し物として期待できそうなのが中川颯(オリックス→DeNA)だ。一軍ではルーキーイヤーの2021年に1試合登板しただけで、昨シーズンからは育成契約となり、わずか3年で自由契約となった投手である。しかし昨年の二軍の成績を見ると21試合、32回2/3を投げて自責点はわずか5で防御率1.38という見事な成績を残しているのだ、与四死球4、34奪三振という数字も立派である。なかなかいない本物のアンダースローであり、初見で打つのは難しい投手であることは間違いない。オリックスでは育成契約だったにもかかわらず、DeNAが支配下で獲得していることからもその期待の大きさがうかがえる。こちらも前述した森とともに、DeNAの投手陣に大きなプラスをもたらす可能性は十分にありそうだ。
野手で最も実績のある選手といえばやはり西川遥輝(楽天→ヤクルト)になるだろう。日本ハムでは4度の盗塁王に輝き、シーズン打率3割も2度マークするなどリードオフマンとして活躍。2021年オフにノンテンダーという形で自由契約となり、移籍した楽天では目立った成績を残すことはできなかったが、打率を1割以上上回る出塁率の高さは健在だ。ヤクルトの外野はライトのサンタナ以外はかなり流動的な状況だけに、レギュラー争いに加わってくることも期待できるだろう。
西川と同じく楽天を自由契約となった選手では炭谷銀仁朗(西武)に対する期待も大きい。FAで移籍した巨人、そこからさらに金銭トレードで移籍した楽天では他の選手との兼ね合いもあって出場機会には十分に恵まれなかったが、それでも安定した守備力はまだまだ健在である。6年ぶりに復帰する西武は一昨年のオフに森友哉がFAでオリックスに移籍したこともあって実績のある捕手が不在なだけに、チームのこともよく知っている炭谷の復帰は極めて大きいはずだ。若手が伸びてくるまでを補うという意味では、極めて的確な補強だったと言えそうだ。