冒頭で触れた中田とともに期待がかかるのが上林誠知(ソフトバンク→中日)だ。プロ入り4年目の2017年には108安打、13本塁打、翌2018年には149安打、22本塁打を放つなど見事な活躍を見せたが、それ以降は怪我もあって大きく低迷。昨年も一軍でわずか17安打に終わっている。ただ2022年5月に負った右アキレス腱断裂の影響が昨年は残っていたと言われており、その回復状況によってはまだまだ力を発揮できる可能性もあるはずだ。この春季キャンプでも初日からフリー打撃で快音を響かせており、その長打力は大きな魅力である。長打が期待できる左打者が少ないチーム事情を考えても、完全復活に期待したいところだ。
こうしてまとめてみると、DeNA、ヤクルト、中日の3球団が積極的に自由契約となった選手を獲得していることがよく分かる。彼らがセ・リーグの優勝争い、クライマックス・シリーズ(CS)進出争いのキーマンとなることも十分に考えられるだろう。(文・西尾典文 )
西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。