コロナ禍を経たことも大きいと思われるが、感染症にかかった際に他人にうつしてしまうことは「社会悪」という意識が特に若い世代に強いと感じるという。一方で、ベテラン社員ほど相応の準備をした上で、周囲との調和も図って休暇を取る傾向があるという。

「勤続年数とともに仕事の量や責任も増えていきますから、休暇中に積み残された仕事は結局、自分が背負うことになるのが分かっている社員は相応の準備をしてから休むのだと思います。そこが、先輩や上司にカバーしてもらうのが前提の若手社員とは異なります」

 これは一つの見方にすぎないが、職場での立場や世代間で異なる意識が「休み方」の違いにも表れるのは確かだろう。

「安心感」の充実を

 こうした中、若手社員の「休暇取得控え」防止のため休暇制度を改定した会社もある。ITサービス会社「インテリジェントウェイブ」は今年4月から、勤続5年目までの社員に対して有休付与日数を2日増加したほか、入社3カ月までの試用期間中も取得できるようにした。同社の人事部長は若手社員の「休暇取得控え」を人事面談などで実感してきたという。

「勤続6年目以上の社員に比べて有休の日数が少ない5年目までの社員は、早めに年休を消化してしまうと、病気などでいざという時に取得できなくなることを恐れていました」

 同社の社員数500人弱のうち、勤続5年目までの社員は4割近くを占める。若手社員が求める「職場の安心感」につながる制度の充実はマストだ。ただ今回、様々な特別休暇制度や有休の積立制度なども同時に新設したこともあり、今のところ若手社員の年休取得率に大きな変化はないという。

 休暇制度の充実は重要だが、それだけでは年休取得の促進につながらない面もある。アエラのアンケートでは「休むと仕事がたまる」(50代の製造業男性)、「代わりに対応できる人がいない」(50代のサービス業女性)といった声も。こうした職場の構造的な体質を変えるにはどうすればいいのか。

 前出の大島さんは、日頃から複数人で業務を相互に分担する体制が不可欠と指摘する。

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