國學院大・後村光星
この記事の写真をすべて見る

 今年も熱戦が繰り広げられている大学駅伝。10月9日の出雲、11月5日の全日本を終え、いよいよ年明けの1月2、3日の箱根駅伝へと向かう。駒澤大が史上初となる2年連続での大学駅伝三冠達成にリーチをかけているが、その他にも見どころタップリ。今回は箱根デビューが期待される1年生ランナーに注目したい。

【ランキング】箱根駅伝2023・エントリー選手の出身高校ランキング

 最も注目される1年生ランナーが、東京農業大の前田和摩(報徳学園卒)だ。高校3年時のインターハイ5000mで4位(日本人1位)に入ると、大学入学後にメキメキと頭角を現し、6月の全日本選考会10000mでは留学生の先頭集団に食らい付いてU20日本歴代2位となる28分03秒51をマーク。そして10月14日の箱根予選会で初のハーフマラソンながら1時間1分42秒、日本人トップでゴールしてチームを10年ぶりの本戦出場に導いた。そして三大駅伝デビューとなった全日本では2区を任されると、10位から6人抜きで従来の区間記録を更新(区間3位)して見せた。その軸のブレない安定感のある走りは堂々たるもの。チームとしての目標はシード権獲得になるが、その中でもスーパールーキーの箱根“衝撃デビュー”が期待される。

“絶対王者”駒澤大は層が厚く、昨季三冠メンバーも多くの残っている中で1年生ランナーが付け入る隙はなかなかない。現に、出雲、全日本での1年生の出走はなかった。それでも期待したいのが、安原海晴(滋賀学園高卒)だ。今春の箱根で7区を走った安原太陽(4年)の弟であり、高校3年時に世界クロスカントリー選手権U20の日本代表として出場した期待のルーキー。5000mのベストタイムは13分56秒45。出雲、全日本は補欠メンバーに入りながら未出走に終わったが、コンディションや展開次第では箱根路での“兄弟出走”の可能性は大いにある。

 全日本2位で打倒・駒澤大の一番手としての期待される青山学院大では、鳥井健太(清風高卒)に注目だ。中学時代から都道府県駅伝に出場するなど経験豊富で、大学進学後もタイムを伸ばし、9月に5000mで13分36秒73のベストタイムをマーク。出雲で5区に抜擢された際は区間10位と期待に応え切れず、全日本は未出走に終わったが、11月12日に行われた世田谷ハーフで自身初のハーフマラソンながら1時間2分35秒の好タイムで見事に優勝を果たした。この調子を維持すれば箱根でも好走間違いなし。どの区間に配置するかは難しいところだが、チームに勢いを付けるという意味ではキーマンになるとも言える。

次のページ
國學院、順天堂、中央にも注目の1年生