子安さんは、危害を加えるような内容の電話は録音し、組織として当局に相談するなどの対応をすべきだと話すが、「貴重なご意見やご指摘もあるため、切っていい電話とそうでない電話との線引きは難しい」と本音も。
秋田知事の発言についても、
「首長が毅然と言ってくれると、現場は心穏やかになる部分はある」と評価はするが、職員がそれを簡単に実践できないのも現実だという。
地方公務員を30年以上経験し、現在は著述活動をしている秋田将人さんも、
「公務員は市民の話を聞くのが基本ですから、クレームにさらされるのはある意味、宿命とも言えると思います」
と率直な思いを話す。
火に油を注ぐ場合も
秋田さんも、何をどう説明しても同じ意見を延々と繰り返す相手に対しては、
「こちらからお話しすることはもうありませんので、切らせていただきます」
と話し、電話を切っていたという。
一方で、時間をかけて説明することで理解を得ることができ、先方がお礼を言ってきたこともあった。秋田さんは「正解がない」なかで臨機応変に対応し、対応力を高めていくことが重要だとする。
それゆえ、クレーム電話への対応をルール化したとしても、その効果については懐疑的だ。
「実名を聞いたら、『なぜ名乗る必要があるんだ!』と火に油をそそぐ結果に終わる懸念もあります。留守電に転送したり、何分間か経つと自動的に切る形をとったりした場合、ちゃんと内容のある電話をしてきた市民は、役所に不信感を抱くのではないでしょうか」