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 私たちの生活に、今や必要不可欠なツールとなったスマホ。たびたび問題視されるスマホの影響力だが、科学的にはポジティブな効果も報告されている。アメリカでもトップクラスのスタンフォード・オンラインハイスクール校長、星友啓氏は、人間の脳や心が持つポテンシャルをフルに活かすためにスマホをどう活用するかが鍵だという。星氏の新著『脳を活かすスマホ術――スタンフォード哲学博士が教える知的活用法』(朝日新書)から一部抜粋、再編集し、最新の科学でスマホはどう認識されているのかを紹介する。

【グラフ】スマホの使用時間と学力の関係はこちら

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スマホのメンタル影響をメタ分析すれば

 スマホは本当に悪なのか? 最新研究の現在地はどこなのか? これを考えるのに非常に重要な論文があります。

 それは、文字通り「SNSと心のウェルビーイング(Social media and psychological well-being)」と題された論文。スマホのメンタルへの影響についての有力な研究226本をまとめ直して、スマホの悪い影響と良い影響を再評価するというものです。

 これまでの研究では、スマホの悪い影響を示すものと、良い影響を示すものの両方がありました。

 例えば、「スマホ使用時間が増えると、うつ病のリスクが上がる」という結果を示す研究もあれば、その逆の結果を示す論文もあったわけです。

 しかし、それぞれの対象者や条件が少し違ったりする。それらをすべてガッチャンコして、全体を見渡して、スマホのメンタルへの影響を検証すればどうなるか。

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スマホの使用時間とメンタルには相関がない