国立成育医療研究センターの帯包エリカ研究員

 帯包さんらは昨年8月、パートナーが出産前後の男性約1700人を対象にアンケートを実施。産後うつを発症する確率が高まる主なリスク要因を調べた。その結果、困ったときに家族が助けてくれない「家族機能の低さ」が、発症リスクを2倍ほどに高めることがわかったという。

「家族との関係性が悪い人はうつ病の発症リスクが高い、ということが言えます。家族との関係性を考えるうえで、お父さんとお母さんのコミュニケーションの影響は大きい。ただ、そこはなかなか難しい」

 と帯包さんは話す。
 

妻のイライラの原因がわからない

 広島県尾道市は7月、「夫婦でお互いの理解を深めて、円滑に子育てをしてほしい」と、市内に住む父親に対して行ったアンケート「産前産後のパパの気持ち」の結果をまとめたチラシを、出産を控えた女性に配布した。

 アンケートで最も多かった夫の声は「妻がわけもわからず、イライラしているのが嫌だった。何をしたらいいのか、言葉ではっきりと言ってほしい」だったという。

 また、国立成育医療研究センターの父親支援研究班による調査でも、出産後、夫が妻に対して覚える葛藤のトップは「妻のイライラの原因がわからない」ことで、3割にのぼった。そして「自分なりに家事や育児を頑張っているのに認めてもらえない」(24%)、「妻が自分にどんな家事を求めているのかわからない」(24%)と続いた。
 

 そして、ベネッセ次世代育成研究所が行った「妊娠出産子育て基本調査・フォローアップ調査」は、子育て中にイライラする場面は、妻と夫とで大きな違いがあることを明らかにしている。
 

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