昨年12月、生徒指導のガイドライン「生徒指導提要」が12年ぶりに改訂された。それをひもとくと、なぜ生徒指導が教員にとって最大のストレス要因となっているかがよくわかる。そこに挙げられているのは、いじめや暴力行為、不登校、自殺などへの対応だ。
「学習指導であれば、授業の準備をして、ある程度予測のなかで進められます。ところが、生徒指導はケースごとに異なるので一般化できない。いつ起こるかわからないので、教科書的な対応だけではうまくいかない。解決の方向性も見いだしにくく、時間も取られる。対応の結果、事態が好転して周囲が働きかけを認めてくれればいいのですが、結果が出ないうえに、頑張っていることが認められないと、ものすごく徒労感を覚える。教員の仕事のなかで生徒指導がトップのストレス要因なのは当然です」
振り返ってみれば、40年前に大ヒットしたテレビドラマ「3年B組金八先生」は生徒指導がテーマだった。当時は非行や校内暴力の嵐が吹き荒れていた。半面、保護者や世間は教員をリスペクトしていた。
「当時は教員の頑張りを認めるあたたかいまなざしがありました。先生が児童生徒の問題行動を叱って、保護者に伝えると、『うちの子が悪いのでもっと叱ってください』とか、『先生の思うようにやってください』という雰囲気があった。かつての青春学園ドラマはそういう背景があって成り立ってきた」