行きたくない学校に行かなければならない――そんなプレッシャーが日に日に高まり、限界を超え、死に追いやられてしまう子どもが毎年のように夏休み明け前後に増加する。しかし、心が悲鳴を上げているのは子どもたちだけではない。文部科学省は自殺予防対策として、悩みや困難を抱える児童生徒の早期発見に努めるよう学校にうながす一方、難しい対応をも迫られる教員にとっては大きな重圧となる場合も多い。2021年度、精神疾患で離職した教員は過去最多の1052人。1カ月以上の休職等は1万人を超えた。その原因の大半をうつ病が占める。長年、教員のメンタルヘルスの研究を行ってきた関西外国語大学の新井肇(はじめ)教授は、教員の疲弊は限界にきている、と指摘する。
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教員の仕事が「ブラック労働」だといわれるようになって久しい。その背景としてよく挙げられるのが長時間勤務だ。しかし、教員のストレスの原因は別のところにあると、新井教授は指摘する。
「私は『バーンアウト(燃え尽き)症候群』という観点から新任からベテランまでの教員に対して調査を行ってきましたが、2000年代に入ってからは、ストレスの要因のトップは『生徒指導』の困難性です」