KADOKAWAが発表した謝罪文

できないことはできない

 では、「ギフテッド」の当事者はどのような学校生活を送っているのだろうか。

 元テレビ東京のアナウンサーで、現在フリーとして活躍する赤平大さんの息子は最難関の麻布中学校に通う「ギフテッド」だ。

 ところが、「よく誤解されるのですが、IQが高いからといって勉強が楽にできるかというと、全くそうではありません。できることはびっくりするぐらいできるんですが、できないことは徹底的にできない」と語る。

 赤平さんの息子は「IQが高く出ている部分」と発達障害を併せ持つ。専門用語では「二重に特別な」を意味する「2E(トゥーイー):twice-exceptional」と呼ばれる子どもだ。

 それに最初の気づいたのは保育園の先生だった。年中の終わりごろ、赤平さんは、こう言われた。

「息子さんは大人向けの掲示物を全部読めるし、英語もある程度わかっている。何か特別な勉強をしているんですか、と先生に声をかけられたんです。全く何もしていません、と答えたら、もしかしたら、何かあるかもしれないので、病院で検査をしてみたらいかがですか、みたいなことを言われたんです」

 検査の結果、発達障害の疑いが指摘された。注意欠如・多動症(ADHD)と診断されたのは就学時健康診断のときだった。

 小学校では主に通常の授業(普通級)を受けながら、障害に応じた指導を受ける教室、通級指導教室(通級)に通った。

「保育園のときは特に問題は感じなかったのですが、小学校に入ると如実に問題が出てきました」

 授業中、ずっと座っていられないので、教室の外に飛び出してしまう。自分のやっている作業を優先してしまい、他の児童とスムーズに行動できない。大きな音も苦手でワイワイと騒いでいる場を避けてしまう。そのせいか、いじめにあった。

「空気が読めないので、お友だちとのコミュニケーションがうまくいかない。いじめられやすい要素はあったと思います」

 麻布中学校への進学は息子の意思だった。

「受けさせたら、受かってしまった。でも、当初は発達障害の支援が手厚い中学校に行かせるつもりだったので、すごく悩みました。1週間くらい息子と毎日相談した結果、『挑戦してみたい』と言うので、その気持ちを尊重しました」

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