「ギフテッドの子どもたちへの偏見を助長する作品である」――保護者からの強い抗議を上がった。その後、株式会社KADOKAWA、角川つばさ文庫編集部は、7月12日に発売予定だった『七色ギフテッド! 天才だらけ!? 学校生活はがけっぷち!』(著者・深海ゆずは)について、「事実とは異なる誤解をまねく表現があることがわかりました」と謝罪し、発売を延期した。いったい、何が問題だったのか。取材を進めると、「ギフテッド」という言葉の定義をめぐる難しさがみえてきた。
* * *
コトの発端は6月、KADOKAWAの児童書ポータルサイト「ヨメルバ」で『七色ギフテッド!』の先行連載が始まったことだった。
作品の舞台は、特別な才能を持つ「ギフテッド」たちが集められた超エリート校。そこへなぜか合格してしまった12歳の主人公と超個性的な天才たちが繰り広げる学園ラブコメディーだ。
ところが、作品がインターネット上で公開されると、「ギフテッド」の保護者を名乗る人たちからSNS上に次のような抗議の声が上がった。
「ギフテッドの子どもたちは世間から『天才』と見られることに苦しんでいます。それを助長するような作品に強い危惧を感じます」
「作品はギフテッドへの理解がまったく欠けています。作者や編集部はギフテッドのことを調べたうえで、この作品を書いたのでしょうか」
「実際のギフテッドは学校生活が苦手で、特別支援学級に通っている子どもたちも少なくありません。作品にあるエリート校生活とはかけ離れています」
KADOKAWAに抗議したと、SNSに書き込んだ人もいるが、実際はどうだったのか。
AERA dot.はKADOKAWAに謝罪文を出した経緯について取材を申し込んだが、「本件についての経緯や今後については発表した『お詫びとお知らせ』の通りであり、それ以外にコメントを発表する予定はありません」という返答のみだったので、詳細は不明である。