赤平大さん(画像=本人提供)

 入学から4カ月。新しい学校生活はどうだろうか。

「今のところは何とかギリギリ適応しているのかな、っていう感じです。もちろん困り事はいっぱいあります。忘れ物が尋常じゃないぐらい多い。宿題から何から全部親がケアしないとできない。できないことはできないんですよ、絶対に。だから、それを責めてはいけない、といつも思っています」

 実は、赤平さんへのインタビューの冒頭、こう釘をさされた。

「ぼく自身は、息子がギフテッドだとは言っていません。これまでの報道で、そう言われてきただけです。文部科学省がこの言葉を使うことをやめたように、『ギフテッド』の定義はあいまいです。KADOKAWAさんの問題はよく知りませんが、ギフテッドの定義づけがからんだ問題なのでは、と想像しています」

かみ合わない議論

 冒頭に書いたように、『七色ギフテッド!』が先行配信された際、SNS上で抗議の声が上がった。ところが、当事者を名乗る人たちからは正反対の意見も書き込まれた。

「定義があいまいな『ギフテッド』について、一方的な考えでKADOKAWAに抗議するのはおかしい。それは偏見にすぎず、あなたたちの抗議はギフテッドを貶めるものだ」

 才能教育・2E教育が専門の関西大学の松村暢隆(のぶたか)名誉教授によると、『七色ギフテッド!』をめぐる問題の背景には「ギフテッド」という言葉のとらえ方が当事者たちで食い違っており、議論がかみ合わないことがあるという。

 もともと「Gifted(ギフテッド)」は、色のついていない才能を広く表す言葉である。

 ところが、日本では「ギフテッド」という用語は大きく分けて、「突出した才能を持つ人」、もしくは「才能と障害・困難を併せ持つ人」という意味に限定されて用いられていると松村名誉教授は言い、次のように説明する。

「一つは『異能の人』と呼べるような本当に天才的な子どもたちです。コミュニケーション能力も高くて、世の中をスイスイと渡っていく子どもも大勢いる。もう一つは、才能はあるけれど、発達障害などの障害があって『2E』と呼ばれたり、才能などが原因で不登校等の困難に直面したりしている子どもたちです」

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文科省は「ギフテッド」を使わないことに決めた