将棋の王将戦七番勝負が1月8日に開幕し、藤井聡太王将に羽生善治九段が挑戦する。AERA2023年1月2日-9日合併号では、若きスーパースターとレジェンドの「ドリームマッチ」の見どころを紹介する。
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歴史に残るドリームマッチ。そう言って、なんら過言ではないだろう。藤井聡太王将(20)に羽生善治九段(52)が挑戦する王将戦七番勝負が年明け1月8日に開幕する。
両者はいずれも将棋史上を代表する至高の存在だ。それぞれの歩みを比較しながら改めて本シリーズの意義を探っていこう。
棋士の資格を得る四段に昇段したのは、羽生は15歳、藤井は14歳。中学生のうちに棋士の養成機関「奨励会」を抜けたのは、年少順に藤井、加藤一二三九段(82)、谷川浩司十七世名人(60)、羽生、渡辺明名人(38)の5人しかいない。
羽生と藤井はデビュー以来、すさまじい勢いで勝ち始める。藤井に至ってはいきなり史上最高の29連勝を達成した。
両者はフルシーズン参戦以降、4年連続で勝率1位。過去に年間勝率8割以上を3回も達成した棋士は羽生しかいなかった。藤井は現在までに5年連続8割以上。6年目の現在も8割台をキープしている。
■藤井を意識する渡辺
全棋士参加棋戦で優勝したのは、羽生は17歳。当時存在した天王戦を参加1期目にして勝ち上がり、準決勝で中原誠名人(現十六世名人、75)、決勝で森下卓五段(現九段、56)らを連破して早くも栄冠をつかんだ。
一方の藤井は15歳のとき。やはり参加1期目の朝日杯将棋オープンで佐藤天彦名人(現九段、34)、羽生竜王(当時)らを下して、羽生の最年少記録を更新した。
羽生は18歳のときNHK杯で大山康晴(十五世名人、故人)、加藤、谷川、中原と4人の名人経験者を連破して優勝。この最年少記録は藤井にも破られずに残っている。
棋士のほとんどにとって、タイトルは一度でも獲得するのが大変だ。しかし19歳の羽生は竜王位にまで駆け上がる。その少しあとに18歳の屋敷伸之(現九段、50)が棋聖を取り、時を経て17歳の藤井が棋聖獲得で最年少記録を更新した。