秀島史香さん(写真:著者提供)
秀島史香さん(写真:著者提供)
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 なぜラジオは3時間の生放送でも聞き続けられるのか? ラジオDJとして25年、第一線で活躍し続ける秀島史香さんですが、実は「もともと緊張しがちで人見知りで心配性」といいます。そんな秀島さんだからこそ見つけられた、誰でも再現できる「人が聞き入ってしまう会話のレシピ」を一冊に詰め込んだ『なぜか聴きたくなる人の話し方』からの連載。今回は、雑談の鉄板・季節の話題の「引き出しの増やし方」をご紹介します。

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■「季節ハント」に出かけよう

 鉄板の雑談ネタといえば、天気の話と季節の話題があります。いずれも深い内容になることはありませんが、いつでもどこでもオールマイティで使える物腰柔らかなジョーカーのよう。天気の話題については前著で書きましたので、今回は季節の話を。

「もう夏も終わりか」「今年もセーターの時期」「今年の花見はどうなるかな」など、私たちは日々の生活の中で季節の移り変わりを自然に感じているもの。クセがなくて親しみやすく、苦手な人が少ない、まるで白いご飯や食パンのような素直さがあります。

 誰もが共感しやすい無理のない「季節の話題」は、打ち合わせの冒頭や初めて会った人との雑談などに重宝します。初対面で緊張して「何か気の利いたこと言わなきゃ!」と考えれば考えるほど最初のハードルを自分で高くしてしまうものですが、そんなときこそ季節の話。

 ひとつの「型」として自分からスッと提供し、返ってきた相手の反応をしっかり受け取り、また返す。その短いやりとりこそ、相手の人柄や話すクセをつかむ、その人に「慣れる」「馴染む」ための大切なコミュニケーションになります。

 ラジオの現場では、季節の話題は、オープニングトークやメールテーマとしてもよく使われます。つまり、それだけみんなにとって「話しやすい」「受け取りやすい」ということ。道を歩けば季節感に当たる、というほど、食べ物や行事、人々の服装など、あらゆる場面で季節感は目に飛び込んできます。

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「季節ハント」に近所の商店街を1往復