「黒松内低地断層帯は短い活断層が何本も走っていて、それがすべて連動すれば大地震になる可能性がある。また、活断層は傾いて地下深くに延び、地震は地下で起きるのですから、危ないのは地表で見える活断層の直上だけではありません。北海道で最も危険な断層帯です」
■原発近くに断層帯
近畿から西に延び、四国を横切って九州の大分まで延びる全長約440キロの国内最大級の断層帯「中央構造線断層帯」は、四国電力伊方原発(愛媛県)の沖合8キロほどを東西に走る。この断層が動けば、M7.5程度の地震が発生するとされる。伊方原発3号機は、再稼働して運転中だ。
さらに、専門家が「いつ動いてもおかしくない」と警鐘を鳴らす活断層が九州にある。人口約160万人を擁する九州最大の都市・福岡市の真下を通る「警固(けご)断層帯」だ。同断層帯は海側の「北西部」と陸側の「南東部」に分かれ、Sランクは陸側の南東部で、M7.2程度の地震が起きると推定される。
福岡県が出した被害想定では、県内で1183人が死亡し、約2万3千人が負傷。建物の全半壊は約3万3千棟、上下水道は約3600カ所、道路275カ所、鉄道346カ所が損壊する。
九州大学大学院地震火山観測研究センターの松本聡教授(地震学)は言う。
「活断層調査によると、南東部は地震が起きたのが約8千年前と約4千年前と言われています。ここから見て、いつ南東部を震源に地震が起きてもおかしくありません」
さらに、南東部は05年の福岡県西方沖地震によって活動が促進された可能性があると言う。
「北西部の力は西方沖地震によって解放されましたが、断層帯全体に力がかかり続け、それを南東部で支えています。また、西方沖地震によって北西部がすべったことで南東部も同じ方向にすべろうとする力がかかった状態にあり、より危険度が増したと考えられます」(松本教授)
(編集部・野村昌二)
※AERA 2023年3月6日号より抜粋