※写真はイメージです。本文とは関係ありません
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【ショウタさん】結構、そういう理不尽で怒られることが多くて、『何なん?』みたいな感じやったんですけど。それでも、母親は彼氏を取らずに、僕を取って夜逃げしてくれたりとか、何やかんやあっても、僕が一番っていうふうに考えてくれていたから、そこは助かったっていうか、そこがなかったら、もっと僕はしんどくなってたんじゃないかなって思うんですよね。だから、母親は好きやったし、一緒に暮らしたかったし。母親から引きはがされるのも、すごく嫌いだったし。
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 ショウタさんのなかで「理不尽」な母親の怒りよりも、直接「母親は好きやったし、一緒に暮らしたかった」という思いが勝る(「母親から引きはがされるのも、すごく嫌いだった」という強い表現の背景には、小学校の頃、家庭の状況を知った教師が、母親と同居しないほうがいいのではないかとショウタさんを保護しようとしたという出来事があった)。理不尽と好きという2つの思いがこの語りを貫く軸となっている。母親の理不尽さは、母親がショウタさんへと一体化していたがゆえにずれが生じたときに起こったからだ。翻って「僕が一番に」という愛情は、ショウタさんからみた母親による彼への一体化の姿だ。

 さらにこの「僕が一番」について「そこがなかったら、もっと僕はしんどくなってたんじゃないかなって思う」と現在から振り返ることで、今自分自身が肯定的に生きていることの理由をこの場面に求めている。

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