※写真はイメージです。本文とは関係ありません
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【村上】転校もしたの? 引っ越したときって。

【ショウタさん】X区内で引っ越したときは転校しなかったんですけど、〔小4で〕夜逃げしたときは西成辺りに逃げてきたんですね。そのときは転校しましたね。

 いつからか、あんまり定かではないんですけど、母親が薬をやってて、いわゆる覚醒剤ってやつをやってたんですけど、母親は僕に隠すじゃないですか。「やってる」なんか、よう言えんから。でも、隠語を使うんですよね。アンパンとか、ジャムとか、ジャムパンとか言ってた。でも、分かるんですよね。そういう言葉を使っても、なんか『そういうのやってんな』って、小学生ながらに気づいてはいたんですけど。だから、さりげなく、学校で「こういう薬のこと学んだで」みたいなことを母親に言うと、結構、動揺するんです。子どもながらに知ってた。

 薬関係の人と関わるってなると、やくざじゃないですか。だから、夜逃げしたときも逃げた先がやくざの人たちやったし、何ていうんかな。やくざの人たちはやくざの人たちで、悪い人たちなんですけど、一応、人情があるっていうか。「子どもと女には手を出すな」みたいな人たちって結構、いるので。一応、保護はしてくれるみたいな。だから、西成のほうに越してきたんです。
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 寝込むという<静>はうつ病とリンクしており、夜逃げする<動>は薬物とリンクしている。冒頭の「夜逃げ」の話題から唐突に「やくざ」の話題に変化したように見えるが、引用の最後で、夜逃げの理由が覚醒剤と関わるがゆえに、かつて暴力団と覚醒剤売買が多かった西成に転居することになったと説明される。彼氏が「やくざ」であるだけでなく、逃げる先も「やくざ」になる。つまり母親の人間関係のネットワークが「やくざ」のなかに閉じ込められている。

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【村上】そうなんですね。西成にいらしたのは何年生のとき。

【ショウタさん】小学校4年生のときにX区から出たので、そっから転校して、ちょっと半年から1年ぐらいは通ってはいたんですけど、そっから全く通わなくなったですね。

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「僕のことが一番やと思ってくれてる」という母親の思いがショウタさんを支えていた