「妻は子どもが生まれてから、万事に完璧を目指すようになったと思います。意欲的にあれこれこなす妻に対して、正直自分は子育てがそこまで楽しいとは思えないんです」(同)
悩みは夫婦共通だ。自身はイベントやセミナー、妻は研究や論文執筆に充てる時間がほぼなくなった。SNSで同僚や友人が楽しげに発信しているのを見ると、「このままでいいのか」と不安にさいなまれる。
「仕事において、ぼくらはどんどん取り残されていくのでは。編集者なのに、『君の名は。』すら見られていない。ひとりで外出するとは、妻に借りを作るということ。そのカードは緊急事態のためにとっておきたい」
社会構造ゆえのジレンマか、あるいは、家事も仕事も理想通りバリバリこなす、スーパーマンになれない自分が悪いのか。答えは見えない。(編集部・作田裕史、熊澤志保、市岡ひかり)
※AERA 2017年12月4日号