ペットが病気になったとき、けがをしたとき、どこの動物病院にかかればいいのか。動物病院は、ほとんどが専門科に分かれておらず、診療費もまちまち。手術数の届け出制もない。選びたくても、判断基準がないのが現状なのだ。

 そこで本誌は、東京23区内約800の動物病院に28項目のアンケートを行い、123病院から回答を得た。

 まず、診療費や設備の充実度はどう評価すればいいのか。動物病院の診療費は、人間の保険医療のように一律の価格があるわけではない。仮に日本獣医師会などが主導で診療費を統一しようとすれば、「一般論としては不当な取引制限にあたる」(公正取引委員会)として、独占禁止法違反になってしまう。

 そのため、初診料も0円から1万円台まで、かなりの価格差があった。犬のフィラリアの予防薬では数千円単位でばらつきがあり、同じく犬猫の不妊手術では数万円の差が開いた。一部の動物病院からはこんなコメントも寄せられた。

「獣医師はドッグフード、ワクチン、フィラリアで金もうけするのをやめるべきだ。高度医療も腕があれば安くできるはず」(墨田区の谷澤動物病院)

 日本獣医師会理事の細井戸大成氏はこう指摘する。

「手術や診療の料金は病院によってかなり違う。例えば不妊手術の場合、麻酔の仕方や縫合に使う糸の種類などによっても違ってくる。より詳しい検査を求めれば、料金も高くなります」

AERA 2012年10月22日号