2020年7月24日の東京五輪開会式まであと1年を切った。銅メダルに輝いた1968年メキシコ五輪以来52年ぶりとなるメダル獲得を目指す男子サッカーは、スペインの名門レアル・マドリードに移籍したMF久保建英(18)を筆頭に、かつてない豪華メンバーがそろっていると評判だ。
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五輪の男子サッカーは23歳以下と年齢制限があるが(最大3人のオーバーエイジは認められる)、18歳で“飛び級”の久保のほか、すでに海外で複数年を過ごし、A代表に定着したMF堂安律(21、フローニンゲン/オランダ)やDF冨安健洋(20、ボローニャ/イタリア)、今季鹿島で背番号10を背負っていながら久保に続き、先日スペインの強豪バルセロナへ移籍したMF安部裕葵(20)ら、力のあるタレントは多い。
久保は現地時間7月20日、米ヒューストンで行われたインターナショナル・チャンピオンズカップのバイエルン戦で実戦にデビューすると、その後のプレシーズンマッチでも全く臆することないプレーで周囲を驚かせている。それだけに、今後どんな成長曲線を描くのか興味は尽きない。
もちろん、久保も安部もシーズンが始まれば、基本的にはBチーム(スペイン3部リーグ相当)所属にはなるが、古参のサッカーファンにすれば、日本人選手がレアルやバルサに所属すること自体、にわかには信じがたいといえるかもしれない。
かつて日本人選手の海外移籍といえば「日本代表の主力となり晴れて実現」というのが主流だったが、いまでは若くして海を渡る選手も珍しくなくなり、東京五輪でもベストメンバーが組めれば、オーバーエイジも含めそのほとんどが海外組なんてこともあり得る。そんな状況に、A代表と五輪代表を兼任する森保一監督(50)も「(東京五輪の)目標は金メダル」と公言している。
ただ、サッカー界の頂点は五輪ではなく、ワールドカップ(W杯)。この点は、五輪至上主義の他競技とは大きく異なる。自国開催の五輪といえども、海外でプレーする選手に対して、日本サッカー協会(JFA)に選手の拘束力はない。W杯などFIFA(国際サッカー連盟)のカレンダーのもとで行われるA代表の試合と、五輪の1競技である男子サッカーはそもそも事情が違うのである。