16年のリオデジャネイロ五輪でも、攻撃の軸として期待されていたFW(25、ヘント/ベルギー)が、当時の所属クラブ(ヤングボーイズ/スイス)に招集を拒否されたことで、直前になってチームに合流できないということがあった。
東京五輪の男子サッカーは開会式より2日早い来年7月22日に始まり、決勝が8月8日。この時期はちょうど欧州サッカーの開幕時期でもあり、クラブとしては選手がケガに見舞われたら目も当てられない。選手はチームを離れることで、ポジション争いから後退するリスクを伴う。誰もが参加させたい、したいわけではないのも事実である。
一方で、かつての日本代表のエース本田圭佑(33)は、昨年のロシアW杯以降は日本代表から遠ざかっているものの、東京五輪にオーバーエイジ枠で出場したいとの意向を明らかにしている。
今夏オーストラリアのメルボルン・ビクトリーを退団し、現在は所属クラブを探しつつ、古巣のVVVフェンロ(オランダ)で調整中の本田。来年6月には34歳となり、全盛期のプレーはもはや期待できそうにないが、話題性は十分で、起用法次第では、その勝負強さや存在感は大きな武器になる可能性はあるだろう。所属クラブがどうなるかは不明だが、場合によっては売り出し中の若手よりも招集に支障がないかもしれない。
久保と本田。新旧スターが東京五輪で共演となれば、どんなチームになるのか楽しみは膨らむ。ただ、久保をはじめとした若手が所属クラブで台頭すればするだけ、招集は困難になり兼ねない。東京五輪男子サッカーは、最強チームを作りたくても作れないなんてことになっても不思議じゃない状況に置かれているのである。(栗原正夫)
※週刊朝日オンライン限定記事
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