「本校の生徒の志望は東大が最も多いです。その希望をかなえるために、文武両道、自主・自律の校風は継承しながらも、10年以上前からきめ細やかで組織的な学習指導と進路指導をしています」(武内彰校長)
土曜講習や夏期講習のほか、記述力を高めるために、教員が高3生の個別添削指導をしている。
「3年生一人ひとりの科目ごとの成績データを全教職員で共有し、進学指導検討会やケース会議をしています」(同)
12年から日比谷、西、県立浦和、浦和第一女子(埼玉)、県立千葉、県立船橋(千葉)、湘南、柏陽(神奈川)の8校が参加する「首都圏公立進学校交流会」で、校長をはじめとする教員が、他校と情報交換をしている。
「志を同じにする校長、生徒が集まる学校同士、学校運営のヒントを得る関係ができています」(同)
私立をみると、82年から38年連続で開成が東大合格者数日本一。19年は187人と断トツだ。
かつては開成、麻布、武蔵を「男子御三家」と呼んでいたが、生徒数が少ない武蔵が合格者数を減らし、駒場東邦が躍進した。「女子御三家」もかつては桜蔭、女子学院、雙葉だったが、現在は豊島岡女子学園が東大合格者数トップ3の女子校に成長した。
開成は、勉強ばかりしていると誤解されがちだが、部活動や学校行事にも力を入れる。同校の柳沢幸雄校長は次のように語る。
「部活の大会などで土曜の授業を休んだ生徒には、その教科が得意な生徒がノートを貸したり、教えたりしています。教えることによって頭の中を整理でき、教える生徒も力がつきます。生徒は仲がよく、みんなイキイキとしています。高3生は八つの組に分かれて競う5月の運動会で完全燃焼したら、気持ちを切り替えて受験勉強を頑張ります」
中学に300人が入学し、高校から100人が加わる。
「帰国生や公立中で学んだ生徒が高校から入学し、多様性があります。15年から、経済的な理由で進学を断念する生徒を迎えるため、同窓会の寄付で入学金、高校3年間の授業料などを免除する奨学金制度を始めました」(柳沢校長)