■経済成長が起きるとワインブームも起きる

 消費だけではない。いまや中国は、世界最大のワイン生産国のひとつだ。2014年のデータでは中国は世界第6位のワイン生産量である。もっとも、中国の近年の経済成長率はやや鈍化しているそうだし、アメリカとの貿易摩擦もある。このワインブームというかバブルが、いつまで続くかはわからない。経済成長が起きるとワインブームが起きるのは中国だけではない。日本でも経済成長のさなかに何度かワインブームが起きてきた。

 1970年代からの高度成長期に3度のワインブームが起き(1972, 1978, 1981年)、バブル真っただ中の1987~1990年には第4次ワインブームが起きた。ボージョレ・ヌーボーが流行したり高級ワインがポンポン開けられたりした。その後1994年、1997~98年と第5次、6次のワインブームが起き、現在は第7次ワインブームのさなかにあるのだとか(メルシャン株式会社の資料による)。

 ちなみに1998年の赤ワインブームは、後述する「赤ワインに入っているポリフェノールが体によい」という説が流布してのブームだった。

 その真偽については、後に述べる。

◯岩田健太郎(いわた・けんたろう)/1971年、島根県生まれ。島根医科大学(現島根大学)卒業。神戸大学医学研究科感染治療学分野教授、神戸大学医学部附属病院感染症内科診療科長。沖縄、米国、中国などでの勤務を経て現職。専門は感染症など。微生物から派生して発酵、さらにはワインへ、というのはただの言い訳なワイン・ラバー。日本ソムリエ協会認定シニア・ワインエキスパート。共著に『もやしもんと感染症屋の気になる菌辞典』など

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