「彼はプログラムコンポーネンツ(演技構成点)の評価も非常に高く、今、世界のトップ。コーチとの話し合いの中で4回転半に挑戦したい気持ちを説得しきれるかどうか」(吉岡さん)

 ただ、ジャンプの難易度もその出来栄えも日進月歩で競争は激しい。

 例えば、高橋大輔の現役当時を振り返ってみよう。2010年のバンクーバー五輪で銅メダルを獲得。フリーの演技では、冒頭の4回転トーループで転倒。結果的に4回転を回避して跳ばなかった米国のエバン・ライサチェクが金メダルを獲得した。高橋は「男子にとって醍醐味は4回転です」などと心境を語った。

 それから8年。平昌五輪のフィギュアスケート男子フリーでは4回転の種類や回数が勝敗を決めるとまで言われるように。4回転は宇野昌磨も4回挑み、米国のネーサン・チェンは6回跳んで5回成功させた。

「若い選手がジャンプを跳べるようになっている。米国の3番手の選手もルッツをきれいに跳んでますし。そういう子が出てくると、結弦もやらなきゃいけなくなる。すべりだけで乗り切れる問題じゃないと思う」(前出の長久保さん)

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