オリンピックのフィギュアスケート男子シングルで66年ぶりの連覇を果たした羽生結弦。世間の興奮が冷めやらぬうちに、新たな目標を口にした。羽生にとって五輪は通過点に過ぎなかったのか。絶対王者の未来のシナリオを徹底取材した。
「ちょっとやる気にはなった。アクセルを改造している状態」
感動の金メダル獲得から1週間もたたない2月22日、羽生はリンクの上でアクセルジャンプを繰り返していた。エキシビションの練習だったが、クワッドアクセル(4回転半)への意欲はありありとみてとれた。
かねて「五輪後」に注目が集まっていた羽生だが、早々に現役続行を表明。しかも、4回転半を跳びたいと明言したのだ。
6種類のジャンプのうち最も難易度が高いのがアクセル。4回転では、まだ誰も成功させていない。
「目標が前人未到のものであれば、そこに自分の存在意義を感じられる。アスリートにとって、これほどうれしいやる気はない」
ソウル五輪シンクロナイズド・スイミング銅メダリストで、現在はメンタルトレーニング上級指導士の田中ウルヴェ京さん(国際オリンピック委員会マーケティング委員)は、羽生の動機をこう分析する。