ただ、今の羽生にとって、実現可能なのだろうか。
「結弦ほどトリプルアクセルがきれいに跳べる選手は少ない。力任せに跳ぶ選手が多い。結弦はアクセルに関してはほとんどミスがない。要するに普通の感覚で跳べる。4回転半いけるんじゃないかなと思います」
と話すのは荒川静香や鈴木明子ら数多くの選手を育てた名コーチの長久保裕さん。仙台時代は、羽生のコーチも務めた。
小学2年から中学卒業まで羽生を指導し、羽生が“恩師”と慕う都築章一郎さんによると、早い時期から4回転半のイメージはつかんでいたようだ。
「昨年8月、アイスショーに来てくれたとき、結弦に『将来どうするのか』と聞いた。そのとき結弦から聞いたのは、『あと3年くらいは(スケートを)やってみたい』という話だった。結弦はやはり、4回転半を何とか成し遂げたいという思いが強い。だから、少なくとも『今シーズンは(4回転半に)チャレンジしてみたい』というふうに話していた。跳べるというイメージも持っていたのでは」(都築さん)