このOBの出身校は、今春も東大合格者数上位50には入らなかった。一方で、近年は国公立大医学部合格者数ランキングの上位30に毎年入っている。このように、地方の進学校は「東大よりも医学部」をめざす生徒が増えている。
15国公立大医学部合格者数のトップは、東海(愛知)で64人。同校は国公立大医学部合格者数が2008年から連続1位で、「医学部に強い高校」として知られる。昨年は109人が合格し、唯一の3桁の合格者を出した。
中京圏の大学では、名古屋大、名古屋市立大、岐阜大、三重大、浜松医科大などに医学部がある。これらの医学部は、首都圏や関西圏の大学の医学部ほどは難しくない。自宅から通いやすいこともあり、愛知県の受験生は医学部志向が強くなるようだ。
東海のほかにも、中京圏では私立だと滝や南山女子、県立だと旭丘や岡崎なども医学部志向が強い高校といえる。
医学部の合格者数2位は久留米大附設(福岡)の35人で、3位は甲陽学院と広島学院(広島)の28人。5位は開成と洛南(京都)が続いた。
合格率の上位10校に絞ると、私立が9校で、国立が1校。上位40校でみると、私立24校、公立12校、国立4校。やはり、上位は私立、国立の中高一貫校が大半を占めている。
公立勢の学校に注目すると、トップは13位の旭丘(愛知)だった。東大と京大に計77人、15国公立大医学部に18人が合格している。
さらに、18位の堀川(京都)、27位の日比谷(東京)、30位の小石川中教(東京)、31位の県立浦和(埼玉)と続いている。
成績上位の生徒が文系と理系のどちらに進むのか。東大を受けるのか、京大を受けるのか、あるいは地元国公立大の医学部をめざすのか。こうした要因で、それぞれの合格者数は大きく変わってくる。
東大の合格者数が減ったと思ったら、国公立大医学部の合格者数が増えていた。京大の合格者数が減ったと思ったら東大が増えていた。進学実績をみると、こうした現象がたびたび起きる。
複数の大学の合格者を総合的にみることで、底力のある学校が浮かび上がる。
※週刊朝日 2017年4月21日号