現在、信仰の発祥の地である岩屋は、奥津宮から歩いて10分ほどの場所になる。江の島を訪ねたのならばこの最大のパワースポットを素通りする手はない。江戸時代に描かれた錦絵にも波に洗われる参道を多くの人が渡っていく姿が描かれている。
●文化財のお風呂とパワスポの風呂につかって
江戸時代隆盛を極めた江の島も、明治期の仏教排斥の機運の高まりとともに山門や塔など仏閣の多くが破壊された。鎌倉時代から本坊として江戸時代には江の島の坊を管理するお寺であった岩本院は、宿坊も務めていた経験を生かして「岩本楼」という宿へと姿を変える。同時に排斥されずに残った仏像や奉納品の多くは岩本楼へと移されて、お寺時代に祭られていた弁天さまは現在、岩本楼に鎮座している。
そんな岩本楼は、今でも旅館として江の島で営業を続けていて、昭和5年に作られた「ローマ風呂」や「弁天洞窟風呂」に入るためにわざわざ訪れる人もいる。ちなみに「ローマ風呂」は、“再現することが容易でないもの”として国の登録有形文化財に指定されるほどの遺物である。岩本楼に加え、江の島にはこの他にも、2つの日帰りスパの施設があって1日中滞在を楽しめる。
●江の島全体がレジャーランド
江戸時代に比べると江の島はずいぶん華やかになった。島の中央にそびえ立つ「江の島シーキャンドル」や足元付近に広がる「江の島サムエル・コッキング苑」と呼ばれる花壇はこの季節、さまざまな花々が咲きほこる。
江の島には、江島神社だけと思っている人も多いと思うが、今の江の島は、島内観光だけで1泊2日できるほど見所はたっぷりだ。イルミネーションに輝く冬場はもちろん、マリンレジャーの季節となった今が旬の島である。
神社仏閣だけを見ても江島神社だけでなく、龍宮の形をした隋心門の前を左手に進むと明治時代の軍人・児玉源太郎を祭る「児玉神社」が、江の島シーキャンドルの南側には「江の島大師」が鎮座する。