ブラックだと言われている教職。教育学部の志願者数や、教員採用試験の受験者数は、果たして増えているのか、それとも減っているのか。教育現場で働く教員らの声を交えて、現在の教員が抱える問題点などを検証する。
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■教員志望が多かった1970年代半ば
「1970年代の初め頃、高度経済成長によって民間給与が上昇したため、相対的に小中学校の教員の給与が低くなりました。74年に田中角栄内閣が教員の給与を一般の公務員より優遇することを定めた『人材確保法』を公布し、5年間で段階的に給与改善を行いました。この頃は、教員志望者が多かったのです」
駿台教育研究所進学情報事業部長の石原賢一さんは、教員志望が多かった時期とその理由をこう振り返る。
「聖職」と言われて来た教職だが、1990年代には学級崩壊が報道されるようになり、2000年代には学校や教員に理不尽なクレームをいうモンスターペアレントが話題になった。その後、モンスターペアレントの子どもがモンスターチルドレンとなり、教育現場の苦労が増幅した。
「学級崩壊などの報道で教員が敬遠されるようになりましたが、2008年のリーマン・ショック後の不景気の頃は、堅い仕事として、再び教員が人気になりました」(石原さん)
■約10年前と比べると、教育学部の志願者減少
国公立大の2019年入試の教育学部の募集人員と志願者数を、2018年、2010年の数値と比べて、表にした。まずは、2019年入試の志願者数を2018年と比べてみよう。
「昨年と志願者数を比べるとそれほど変化はありません。旧帝大の教育学部では、北大、東北大、名古屋大、京大文系、九大が増えています。これらは教育行政や心理などを学ぶ学部で、教員養成の学部ではありません」(同)
それでは、地方の教員養成系の学部はどうか。
「志願者が増えた大学と減った大学があります。『教員になりたい』という生徒は一定数いるため、前年の志願倍率が高い大学が敬遠され、低い大学に志願者が集まる隔年現象だと考えられます」(同)