親が認知症になると財産は凍結 認知症700万人時代の相続対策とは (2/6) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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親が認知症になると財産は凍結 認知症700万人時代の相続対策とは

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認知症などで親が施設に入ると、実家は売ることができないままずっと空き家になる可能性もある(撮影/写真部・松永卓也)

認知症などで親が施設に入ると、実家は売ることができないままずっと空き家になる可能性もある(撮影/写真部・松永卓也)

●お金の不安が消えた

 認知症700万人時代が叫ばれる中、相続税対策などの目的で家族信託を利用する人が徐々に増えているという。まだ聞き慣れない言葉だが、家族信託とは一体どのようなものか。Aさんのケースで詳しく説明しよう。

「委託者」である父(75)の財産を信頼する「受託者」=長男のAさんに託し、管理や処分を任せる。受託者であるAさんは、父が認知症になってもその財産を凍結されることなく、委託者の父の希望に沿う形で信託財産を管理・処分することができる。

 信託は“委託者”“受託者”そしてそこで生じる利益を享受する“受益者”の3者で成り立つもので、委託者が受益者になるケースが多い。Aさんの場合は父が委託者兼受益者、Aさんが受託者となり、「父が認知症などで判断能力がなくなったとき、自宅(土地、家屋)を処分して介護費用を捻出する」「介護などの出費に備えて父の預貯金のうち300万円を管理する」という家族信託を組んだ。

「これで、万が一父が認知症になっても300万円の預貯金を使えるし、いざとなったら自宅を売却することもできる。母も姉もお金の不安が消えたと胸をなでおろしています」(Aさん)

 司法書士に依頼して父とAさんの意思を確認しながら契約書案を作成してもらい、司法書士と父と一緒に公証役場に出向いて信託契約公正証書を作成した。

 以前は“信託”は信託銀行などが請け負う商事信託が中心だったが、06年の信託法改正(07年施行)により、一般家庭でも使いやすくなった。

●財産凍結を防げる

 家族信託が注目され始めた背景には、成年後見制度による後見人の横領事件があとを絶たないこともある。

 成年後見制度とは認知症になった高齢者など、判断能力が不十分な人たちを保護し、支援するもの。「任意後見」と「法定後見」の2種類があり、任意後見は判断能力があるうちに本人が後見人を選任しておく。


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