もともとは私立中受験塾だったが、2005年に都立白鷗高校附属中が開校する前年に同校の受験生が入塾したことをきっかけに、公立中高一貫校の適性検査問題に引きつけられたと、大島塾長は話す。

「問題を見て、面白いと思った。持っている知識をいかに総動員して解くか、脳みそが汗をかくような内容でした」

 6年生対象の「合格講座」は週2回。理数問題対策と、作文問題対策か資料問題対策を組み合わせて行う。適性検査にこだわりを持つだけに、全国の公立中高一貫校の過去問を吟味し、問題を作成する。たとえば、作文問題で「怒る」をテーマに設定する場合、「他人に対して怒るのはどんな時か」「いやな怒られ方、または素直になれる怒られ方は?」など、いろいろな切り口を示して、子どもが考えを深められるようにする。

 通常の講座のほかに、月1回開かれる「そっくり模試」も、精度が高いと評判だ。資料問題は、塾長自ら政府刊行物センターに足を運び、さまざまな白書に目を通して当たりをつける。

「自分で問題をつくると、出題テーマとして面白いかどうかが見えてくるんです」

 昨年の入試では授業で取り上げた「風の仕組み」が、都立武蔵高校附属中で出題された。模試の解説には毎回、大勢の保護者も参加する。昨年、小石川に合格した女子生徒の母親は、「模試の解説は大人が聞いても面白かった」と振り返る。

AERA  2016年2月1日号より抜粋