聖路加看護大学(14年4月から聖路加国際大学に改称、東京都中央区)の井部俊子学長によれば、「医療人として活躍するには広い視野が必要ですが、詰めこみの看護教育では狭い見方になりがち。大病院では事務方も大卒という時代。社会的地位を確保するうえで『大卒であること』は重要なのでは」。

 同大は、隣接する聖路加国際病院から大正9(1920)年に設立された附属高等看護婦学校を母体とする、私立で最も歴史のある看護系単科大学。出身者は教員や現場のリーダー、行政、国際協力などさまざまな形で活躍中だ。

「看護の知識や技術はもちろん必要ですが、人間を相手にする仕事。豊かな人間性を兼ね備えた教養ある専門職業人を養成するためのカリキュラムを提供したい」

 と井部学長。学部教育の充実のため、これまで学部で実施してきた助産師の養成を大学院に移した。保健師養成も移す予定。

 看護師に加え、保健師や助産師の受験資格が得られるかどうかは大学ごとに違う。看護師としての主な就職先は病院で、看護師不足の中、完全な「売り手市場」ではあるが、保健師になれば自治体などにも選択肢が広がる。助産師は、病院でもさらなる専門性を発揮できる。

AERA  2014年3月31日号より抜粋