身体のSOSでもある痛み。緊急性の高い病気の場合もある (c)朝日新聞社 (※写真はイメージです)
身体のSOSでもある痛み。緊急性の高い病気の場合もある (c)朝日新聞社 (※写真はイメージです)
痛みの伝え方  (週刊朝日2019年8月9日号より)
痛みの伝え方  (週刊朝日2019年8月9日号より)

 痛みは主観的なもので、発熱や血圧などのように客観的に測定できない分、第三者には伝わりにくい。医師に聞かれて、何をどのように答えたらいいかわからず、困った経験もあるだろう。早期診断につながる上手な痛みの伝え方のコツをまとめた。

【早期診断につながる上手な痛みの伝え方はこちら】

 一口に痛みと言っても、そのタイプはさまざま。千葉大学医学部附属病院(千葉市中央区)総合診療科科長の生坂政臣さんが、一般の人が知っておいたほうがいいと話すのは、「鋭い痛み」と「鈍い痛み(鈍痛)」の二つ。鋭い痛みは「ここが痛い!」と指し示すことができ、ズキズキする部位が明確だ。対して、鈍痛は「このあたりが何となく痛い」と漠然としている。鈍痛というとガマンできる痛みのようなイメージがあるが、実際は、強い鈍痛もあれば、急に起こる鈍痛もある。

「例えば、急性心筋梗塞は締め付けられるような痛みですが、痛む場所を指で示すことがむずかしい。つまり鈍痛の一種と考えられます。鈍痛の多くは内臓に何かしら問題があったときに生じるものなので、注意しなければならないのは、むしろ鈍痛です」(生坂さん)

 ただ、ガマンできるような弱い鈍痛は、命にかかわるような重篤な病気が潜んでいる可能性は低い。痛み止めを何度も服用しなければならない場合は、医療機関を受診したほうが賢明だ。

 痛みの伝え方の参考になるものとして、亀田総合病院(千葉県鴨川市)総合内科部長の八重樫牧人さんは、急性か慢性か、痛む場所、痛みの強さ、経過など、六つの指標「OPQRST(下記参照)」を紹介する。それぞれの指標のアルファベットの頭文字を並べたもの。医師が患者の痛みの特徴を知る方法として、日本や米国で使われている。例えば、我慢できないくらいの最大の痛みを10とすれば、患者がそのときに感じる痛みの強さを数字で表すことができる。

 プラスアルファの症状も重要。生坂さんが特に注意してほしいと訴えるのは、自律神経症状だ。自律神経には交感神経と副交感神経があり、痛みを感じる内臓神経を介している。そのため、内臓に何らかの問題が起こると、痛みに伴って自律神経症状が起こりやすい。

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