福井国体で高校生活最後の公式戦に臨む金足農のエース吉田輝星(c)朝日新聞社
福井国体で高校生活最後の公式戦に臨む金足農のエース吉田輝星(c)朝日新聞社
都心の客の心もわしづかみにしている「金農ババヘラボート」(撮影・緒方麦)
都心の客の心もわしづかみにしている「金農ババヘラボート」(撮影・緒方麦)
「金農カラー」を取り入れた秋田県庁の職員名刺の見本(秋田県提供)
「金農カラー」を取り入れた秋田県庁の職員名刺の見本(秋田県提供)

 第73回国民体育大会(福井しあわせ元気国体2018)の高校野球(硬式)に出場する金足農。甲子園大会で起こした旋風の再来を期待し、大きな注目が集まっている。その影響は、秋田の名産品の売り上げや地元県庁の名刺にまで波及するなど、夏の興奮ままだまだ覚め切らないようだ。

【都心の客の心もわしづかみにしている「金農ババヘラボート」】

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 今夏の甲子園大会で準優勝した金足農。大阪桐蔭との決勝戦から1カ月以上が過ぎたが、地元の秋田県を中心とした“金農熱”は収まる気配がない。

 秋田から約450キロ離れた東京・有楽町の「秋田ふるさと館」(東京・有楽町)。いぶりがっこや稲庭うどん、日本酒といった約1300の秋田の逸品が並ぶアンテナショップだが、9月に入り、金足農の生活科学科・食品流通科の生徒と秋田市内の製パン会社が共同開発した「金農ババヘラボート」を1カ月間限定で販売するや、「金農」のネーミングに客が喜ばないわけがない。

 秋田名物「ババヘラアイス」をイメージしたバナナとイチゴの味のスポンジケーキでバナナを包んだパンで、同店の「注目商品」となっている。同店への客足は、9月下旬を迎えてもなお、例年以上の勢いを保っている。

 高山英樹副店長はあっけにとられた表情で、「(お客さんから)“金足農業”という言葉は出てこないけども、客足だけ見ればいつもと全然違う。いつまで続くんだろう、という感じです」と話す。

 9月の売り上げは例年比約150%となる見込みだという。

 金足農が2ランスクイズで近江に劇的なサヨナラ勝ちを収めた甲子園大会準々決勝の8月18日と翌19日は、帰省客がお土産を買い求める程度で、例年通りだったそうだが、決勝進出を決めた20日に「異変」を感じ取った。高山副店長が振り返る。

「(20日の)準決勝を勝ち上がって、なんだか様子がおかしい、ざわざわしているぞ、と感じました。決勝の日にドンと(客が)増え、その週末の店内はギュウギュウ詰めでした」

 8月の同店の単月売り上げは例年の120~130%。決勝があった21日から約10日間は、200%近かったという。

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名刺も金足農カラーに