公証役場は全国にあり、遺言などの相談も受け付けている。昭和通り公証役場=東京都中央区
公証役場は全国にあり、遺言などの相談も受け付けている。昭和通り公証役場=東京都中央区
相続に備えてやっておくべきポイント(週刊朝日 2018年2月23日号より)
相続に備えてやっておくべきポイント(週刊朝日 2018年2月23日号より)

 自分の家族が遺産を巡って争う“争続”は、何としても避けたいものだ。元気なうちから準備を進めておけば、もめごとは抑えられる。七つのポイントをまとめた。

【図表で見る】七つのポイントはこちら

【相続に備えてやっておくべきポイント】
(1)資産を把握し整理
預貯金や不動産などの名義をはっきりさせておく。美術品など価値のあるモノも対象。換金しにくいものは早めに現金化も。借金などマイナスの資産も忘れずに

(2)親族で会議を開く
資産を把握した上で、相続の権利がある人を集めて自分の考えを伝えておく。元気なうちに開いておくと安心

(3)生前贈与も検討
資産が大きい人は、早めに譲っておけば配偶者や子どもが払う相続税を少なくできる。住宅取得や教育の資金などとして譲れる

(4)生命保険を活用する
死亡保険金は「500万円×法定相続人の数」までは非課税。亡くなってから受け取りまでに時間がかからないメリットも

(5)遺言を用意しておく
公正証書遺言があれば、遺産分割協議でもめにくい。自筆の遺言は、相続人が家庭裁判所に「検認」を申し立てる

(6)遺留分に配慮する
遺言で遺産ゼロとされても、相続人に最低限保障される権利「遺留分」がある。遺留分を担保してあげればもめにくい

(7)納税額相当分の現金は残す
相続税は10カ月以内に現金で一括納付が原則。不動産はすぐに売れないので、納税分は事前に確保する

 まずは自分の財産を把握し整理しておくことだ。亡くなってから、家族が全ての財産を把握するのは難しい。銀行に口座があっても、預金通帳がなければ調べることもできない。いまはネット専業で預金通帳を発行しない銀行もある。どこの口座にいくら資産があるか自分でリストアップしていないと、家族であってもわからない。

 子どもや孫の名義で口座を作っていても、家族に知らせず自分で管理していると、子どもや孫の財産とは認められず、相続税の課税対象に含まれてしまう。

 銀行口座は亡くなったことが知られると凍結され、相続が確定するまで入出金できなくなる。公共料金の引き落としなど遺族が引き続き使う口座は、別に用意しておいたほうがいい。凍結の解除の手続きは銀行ごとにしなければならないため、小口の口座がたくさんある場合は、ある程度集約しておく。

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