「ライフネットは小さな会社ですし、保険自体にまだまだなじみがなかった。欧米では、この種の保険は『ディサビリティ保険』として広く普及していますから、私たちは絶対来ると思っていました。同業他社からの視察も後を絶ちませんでしたし……」

 潮目を変えたのは15年9月、大手の住友生命が発売した「未来デザイン1UP(ワンアップ)」だった。

「1UP」はあれよあれよと売り上げを伸ばし、16年度は36万件、今年6月までの累計だと65万件となるヒット商品となった。

 売れるとなれば追随は早い。太陽生命(保険組曲Best)、チューリッヒ生命(くらすプラス)、東京海上日動あんしん生命(家計保障定期保険NEO)、三井住友海上あいおい生命(&LIFE新総合収入保障)、朝日生命(収入サポート)などと続き、この10月からは、とうとうトップの日本生命も新商品「もしものときの…生活費」の発売を始めた。

 各社、売れ行きは好調と口をそろえる。「販売を始めてから1年4カ月で約14万件」(太陽)、「今年4月からの5カ月で前年比約2倍」(三井住友海上あいおい)、「今年4~6月は前年比170%」(東京海上日動あんしん)などだ。

 主契約の特約だったり、病気が限定されていたりするものもあるが、商品の基本構造はどこも似たようなものだ。病気などで働けなくなった時に毎月、年金がもらえる。金額は上限や下限はあるが、自分で設定できるものが多い。年金がもらえる期間は、60~65歳までなど、長期にわたるものが主流だ。

 前出の後田氏は、商品比較がしにくいことに不満をもらし、

「各社で細かく条件が違っているため、横並びで比較できなくなっています。日本の保険に共通する現象で、わざとそうしているとしか思えません」

 と苦笑する。

 それでも比べるポイントがある、と言うのは冒頭の保険代理店の職員だ。

「ちょっと気づきにくいのですが、以下の点で各社、対応が違います。【1】保険金が出る基準が、障害年金や介護保険など公的制度と連動しているか【2】一度、就業不能状態になると、年金はずっと出るのか、それとも治ったら出ないのか【3】精神疾患の場合も保険金が出るのか、などです」

 ちなみに保険料は、「40歳男性、年金月額10万円、60歳まで」で「2900~5千円」が目安だ(表も保険料も各社で細かい条件が違うので注意)。

 さて、なぜいま就業不能保険が人気なのか。

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