◆平均的な介護付き有料老人ホーム◆

 集計の結果、高齢者ホームの5年入居時平均月額は、全国平均で17・2万円だった。都道府県別では、東京都が37・5万円で最高値なのに対し、青森県では8・7万円と地域差がかなりある(表参照)。

 このうち、人気の高い「介護付き有料老人ホーム」は大きく分けて、元気なうちに入居するタイプと、要介護者向け専用のタイプに分かれる。

 元気なうちに入居するタイプは一見、一般のマンションとあまり変わらない。部屋の広さはさまざまで、予算に合わせて選ぶことができる。ただ、一般のマンションと違って各部屋に緊急通報ボタンがあり、いつでもスタッフが駆けつける態勢が整っている。食堂や大浴場のほか、映画鑑賞室やカラオケルームなどもある。介護が必要になったら、居室内もしくは要介護者だけが暮らす棟に移って、介護サービスを受けることができる。

◆手厚い職員で上乗せ費用も◆

 一方、要介護者向け専用のタイプは、部屋の広さが18平方メートル程度しかないが、室内に介護ベッドやトイレがあり、職員による24時間態勢が整っている。介護サービスは基本的に介護保険が使えるので、1割の利用者負担でいい。

 ただ、介護サービスの質を判断するうえで参考になるのが、ホーム職員1人が何人の入居者を受け持つかの比率だ(

ムック

ではホームごとに表示)。職員1人が3人を受け持つのが基準だが、受け持ち人数を減らしてサービスを向上させる代わりに「上乗せ介護費用」をとるホームがある。ムックでも、これで5年入居時平均月額が増えているケースがある。

 名古屋市の介護付き有料老人ホーム「グラード名古屋駅前」の入居金は100万円だが、月額費用は28・7万円と決して安くはない。職員1人が受け持つ入居者数を基準の半分の1・5人に減らし、「上乗せ介護費用」をとっているからだ。吉村仁志施設長は話す。

「介護サービスは人手によるところが大きい。職員数が多ければ、入居者から声をかけられても『ちょっと待ってください』と言わなくて済むし、職員の対応にもゆとりが生まれる。当ホームでは夜間にも看護師がいるので、痰の吸引や胃ろう処置(腹部に穴を開けてチューブで栄養を補給する方法)などの医療行為が必要な人も受け入れられる。末期がんで余命いくばくもない人が、終末期を過ごしたいと入居した例もあります」

次のページ