「宝くじに当たったよう」--特別養護老人ホーム(特養)によると、入所が決まった家族からこうした声を聞くことが多いという。

 食事や排泄、入浴などの介護が提供される特養は、待機者が全国に約42万人もいるほどの人気だ。理由は費用の安さにある。

「有料老人ホームは入居時に数百万から数千万円の入居金がいるうえ、月額費用も20万円はする。そんなお金はありませんでした」

 こう話すのは、2年前、認知症の母親を東京都内の特養に入所させた加藤伸子さん(仮名、49歳)だ。特養なら4人部屋で月額費用(部屋代、食費、介護費用)は8万~9万円、最新のユニット型個室でも13万~14万円が多い。国や地方自治体から多額の建設費補助があるからだ。

 しかし、介護度の重さや認知症の症状などで入所の順番が決まるため、すぐに入所できるとは限らない。

 そこで頼りになるのが、介護付き有料老人ホームやサービス付き高齢者向け賃貸住宅などの高齢者ホームだ。地方に住む親を心配して、子どもが自宅近くのホームに呼び寄せる例も少なくない。とはいえ、ホームによってかかる費用もサービス内容もさまざま。「高ければ安心」とは言い切れないし、「安いところはだめ」とも限らない。

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では、ホームごとの「5年入居時平均月額」を算出した。介護付き有料老人ホームの利用期間がおおむね5年なのを受けて、それまでにホーム側に徴収される入居金を月割りにしたものと、毎月の月額費用を合算した。

 入居金が安くても月額費用が高いホームがあれば、その逆もあって簡単に比べられないことから、本誌とタムラプランニング&オペレーティングが全国3220施設へのアンケートから算出した。これをもとにホーム選びのポイントを解説したい。

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